身心をととのえる(法話)

令和五年元旦

身心をととのえる

 今、サウナが人気だそうです。サウナ・水風呂・休憩を適度に繰り返すことによりおとずれる快感状態を「ととのう」と言うそうです。心身がとてもリラックスし、一度経験すると病みつきになるのだとか。

 お寺では以前から、「ととのえる」という言葉をよく使っています。特に、坐禅のやり方を手ほどきする時に、「ととのえる」という表現で説明します。調律の「調」と書き「調える」と読みます。坐禅では、「調身」「調息」「調心」を三調といい、姿勢を正し、呼吸を調え、心を調えることが、その要です。

「心は捉えがたく、軽くたちさわぎ、欲望のままに動き回る」

法句経

 法句経というお経にあるように、お釈迦様は「心は大切なものだが、とても厄介な存在でもある」と説いておられます。そのため、瞑想や坐禅を行い、心のありようを見つめ、心を制御する修行を行います。

 曹洞宗 開祖の道元禅師は、自分でコントロールできる身体や呼吸を正すことで、制御の難しい心を調える方法を教えておられます。そのため書物では、「心身」とは書かず「身心」と「身」を先にしています。
 「心」が先か、「行い」が先がという問いがありますが、脳科学や心理学の研究では、行動が意識を変えるということが分かっているようです。その点では、道元禅師の教えは科学的にも理にかなっているといえます。
 毎日の習慣や行いが、人を作り上げます。新年にあたり、新しい行動や習慣を日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

例えば

  • 毎朝、仏壇に手を合わす。
  • 月命日にお墓参りをする。
  • 手を合わせ「いただきます」「ごちそうさま」を口にする。
  • 靴を揃える などなど

 ちょっとしたことの積み重ねかもしれませんが、今年一年が「ととのう」に違いありません。
 どうぞ皆様にとりまして良き一年となりますように。

 住職 大井龍樹  合掌