阿弥陀三尊仏立像

京都府暫定指定文化財(平成29年指定)

阿弥陀三尊仏立像

【特徴】
 阿弥陀仏が勢至菩薩、観音菩薩を従えて、衆生を極楽浄土に迎えるために人間世界に下降する様を表す「来迎」の姿勢が特徴。
快慶の系譜である「安阿弥様」の特徴を示す。
 中央の阿弥陀仏は来迎印を結ぶ。向かって左の勢至菩薩は合掌し、右の観音菩薩は両手で往生人を乗せるための蓮の台座を持つ。いずれもすこし腰をかがめて前傾の姿勢である。
◎快慶の系譜に連なる仏師によるもので、鎌倉時代、十三世紀後半~十四世紀頃の作と推定。

阿弥陀如来立像(木造)
光背部および台座は江戸時代につくられたもの。
阿弥陀如来立像(木造)
脇侍 聖観世音菩薩立像
脇侍 勢至菩薩立像

■平成の修復事業により判明した内容

・現在の台座および光背は仏像本体の造立時のものではなく、後世になり制作されたもの。様式から江戸時期のものであると推察される。台座、光背ともにしっかりとした彫刻が施されており、力量のある仏師によるものであろう。当初の台座・光背については不明。
・脇侍の宝冠および金属製の装飾も後世のものである。
・衣の切金細工が精緻で技術的にも高度なものである。黒くなり見えにくくなっているが、銀によるものであろうとのこと。
・仏像裏側下部に、花押がある。これは丹波地方で行われた仏像調査を受けた印であるとのこと。(詳細は不明)
・白毫および肉髻珠が木製となっていたが、後世に代えられたものと推定。今回の修復にて、造立時のように水晶をはめ込む。
・来迎阿弥陀像であり、三体とも前傾している。特に脇侍の立ち姿は美しく自然に屈み込んでおり、横および後方からみるとその造形美がよくわかる。

平成29年8月21日、第一回京都府暫定登録文化財「美術工芸品(彫刻)」に登録された

■平成29年4月~31年3月にかけての修復事業(平成の修復事業)

〔修理作業内容〕
漆塗・白下地・丹地・金泥・截金の各層で浮き上がりや剥離、天衣、胸部の剥離等の修理等
三尊佛の足、手、各部位の欠損の修理、足先のつなぎ目等の修理
頭飾りの取付けが緩み、天冠台からずれ落ち正しい位置に取り付ける
各部位の欠損や漆の剥離が多数ヶ所あり、転倒の危険性があり、補強し、漆箔、剥離防止等を行い耐久性も保持す

修復匠 国宝修理所 美術院 木下成通 氏(東京藝術大学特任教授)