能登半島地震から ひと月(住職雑記)
能登半島地震から一か月が経過しました。今回の地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
また、以前の日常とはかけ離れた日々を過ごしておられる被災地の皆様にお見舞い申し上げます。
元日からの大地震。亀岡市もゆらゆらとした横揺れで怖い思いをしました。本堂に吊るされている天蓋や幢幡などが、地震の揺れがおさまった後も数分間揺れ続いていました。
情報が伝わらないもどかしさ
発災直後のTVでは、津波に対する警戒情報がほとんどで、現地の状況がなかなか伝わってきませんでした。直感的に「大きな被害が出ているのでは」と思いましたが、なかなか詳しい被害状況がわからない。
阪神淡路大震災、東日本大震災など数々の大規模地震や自然災害を経験している我が国は、同様のことが起これば、つぶさに情報が集約され、それに基づき迅速な救助や支援がなされる、と思っていましたが、そうではなかったようです。
もちろん、現場において様々な人々が懸命に尽力されていました。しかし、情報不足で何が起こっているかわからない。とても、もどかしい思いがしたのは事実です。遠く離れた地に住む私でもそう感じるのですから、被災された方々はもっと不安な思いをされていたのではないでしょうか。
道路の崩壊・通信網の断裂など、想定外の事態が生じていた影響は計り知れません。でも何かもっと救助や支援する方法があるのではないか、勝手な素人考えですが、そう感じました。
さらに、「被災者を一刻も早く救う」という、国の決意やリーダーシップもあまり感じられず、一層いらだちが募り、残念な思いをしました。
今回判明した課題が改善され、今後に活かされることを願います。
いつ起きてもおかしくない大地震
風水害と違い、突然発生する地震は、事前に身構えて備えることができない点が厄介です。4つのプレートの上に乗っているような状態の日本列島において、大地震はどこで起きてもおかしくないといいます。南海トラフ地震の発生確率は30年以内に70%~80%だそうです。今回の地震を目の当たりにして、どのように備えればいいか、なかなか難しい課題です。
お寺は、建物の構造的には瓦屋根が重く、地震には弱いと言われます。お墓や灯篭なども危ない。実際に、今回の能登地方の寺院の大半が倒壊被害を受けました。
能登の門前町にある總持寺祖院は、前回の平成19年能登半島地震で被害を受け、全国の寺院・檀信徒の浄財により復興されたばかりでしたが、今回も大きな被害を受けています。お寺は、木造で古い建物であることが多く、簡単に耐震工事もできませんので、対策には悩まされます。
命を守るために
『震度7の生存確率』(仲西 宏之 , 佐藤 和彦 (著) 幻冬舎)という本を読みました。
震度7は、「人が立っていられない揺れ、固定されていない家具や机が移動したり、飛んでくるような揺れ」だそうです。ビルや家屋の倒壊が多かった阪神淡路大震災は初めて震度7が適用されました。今回の能登半島地震でも震度7を記録しています。
この本では、その尋常ではない震度7の揺れの中で、まずは「生き残る」ことの重要性を説いています。
その揺れから生き残らなければ、避難のための準備はまったくの無駄になってしまう、というのです。確かに、その通りだと思います。たとえ避難所で不便な思いをしても、命があれば次につながる。
まずは、震度7の揺れの中、身を守る対策や行動が一番大切なんだと、気づかされました。
今回の能登半島地震では、240名以上の方が亡くなられていますが、その死因の4割が圧死ということで、そのうちの9割が家屋の倒壊によるものだそうです。建物の耐震補強工事ができればベストでしょうが、なかなかハードルが高い。まずは、次のようなことから、はじめてみたいと思います。
すぐにできる地震対策
- 寝室や生活スペースの家具の配置を見直す
- 家具が倒れないように固定する
- 避難通路を確保する(整理しておいて、すぐに移動できるように)
- 倒壊の恐れのない安全な場所を確保・確認する
自分事として とらえる
「いつ大地震が起きても不思議でない」と、頭では理解していても、「でも自分のいるところで起きないだろう」と頭の片隅で思っている自分がいます。災害対策や防災など、意識はしているのですが、どこが他人事のようなところがあると反省しています。
亀岡には「殿田―神吉―越畑断層」・「亀岡断層」・「埴生断層」があるそうです。大きな地震は避けられないとも言えます。
すこしでも、危機感をもって「まさか」の事態に備えれるようにしなければならないと感じています。
(一般財団法人)日本建築防災協会 「誰でもできるわが家の耐震診断」
https://www.kenchiku-bosai.or.jp/taishin_portal/daredemo_sp/