今日是無事~感謝の気持ち

 年末になり、コロナ・オミクロン株の感染増加が報じられ、まだまだ安心できない状況です。
 昨夏、関東に住む檀家さんから頂いたお手紙に「無事ということのありがたさを感じる毎日です」という一文が添えられていました。緊急事態宣言が発令され、誰が感染してもおかしくない日々。自粛続きで疲れやストレスがたまる中、本当にそうだなと、私の心にとても響きました。

 お寺の山門に伝道掲示板があります。毎月、東堂(前住職)が言葉を記しています。
 「感謝する心で 今日も無事にすぎ」
去る十二月の言葉です。
 無事に過ごせたから感謝をする、というのが普通ですが、そうではなく、感謝する心が無事や幸せを生む。感謝できる事が幸せであり、無事そのものといえるでしょう。

 不平不満ばかりでは、幸せは遠ざかってしまいます。周りにいる人も嫌になりますし、何より自分自身がその言葉に毒されてしまいます。
 先ほどの手紙には、愚痴ではなく、謙虚な感謝の気持ちがこもっていました。
 視点を変えれば、見え方、とらえ方が変わります。世の中は本当に「有難い」事ばかりです。
 暮らしの中に感謝のタネはあふれています。それはすなわち幸せのタネでもあります。
 どうぞ、皆さま、今年一年、感謝の心で「無事に」過ごしてまいりましょう。  合掌

 (令和4年1月「おてらだより」より)