コロナとともに歩む

 昨年は、思わぬコロナウィルスの感染拡大により、想定外で異例尽くしの一年となりました。地球上の人々が、同じ困難・課題に立ち向かい、その克服と対応に心血を注いでいます。「毎年同じことができる幸せ」を感じ、「あたりまえの日常」の有難さを実感した一年でもありました。

 ウィルスは、細菌の1/50程の大きさで、0.1マイクロメートル程度の極めて微細なものだそうです。地球上には多種多様なウィルスや細菌が存在し、その中には人間にとって有用なものも多く含まれます。

 仏教では「縁起」という複雑な相互関係を、この世の真理として説き、すべては、依存や関連の中で存在していると考えます。もちろん人間も、その絶妙なバランスのもとに生かされています。ですから、仮に特定のウィルスを絶滅させた場合、私たちにどのような影響があるか、簡単にはわかりません。
 当初は「コロナに勝つ」という表現が多く、どこか人間のエゴを感じる言葉だと違和感を覚えました。私たちも「地球の一部である」という、ある種の謙虚さは大切です。その謙虚さが、解決や克服の糸口につながるのではないでしょうか。


「柔軟心(にゅうなんしん)という禅語があります。思い込みや先入観を捨てて、調和する柔らかな心。変化に対応し、行動する心のことです。
 こんな時こそ、困難な状況を冷静に受けとめつつ、前向きに、できることを無理せずに続けていきたいと思います。 合掌

令和3年正月「おてらだより」から