「幸せセンサー」の感度をあげて(法話)

 正月といえば、お餅やお節料理ですね。お節料理はその年の豊穣と幸福を願い、様々な具材が織り交ぜられています。一品一品に意味があり、伝統や文化が詰まっています。昔と違い、今では様々な美味しい食べ物があり、お節料理が必ずしも「ごちそう」ではないかもしれませんが、良き文化としてこれを引き継いでいきたいと思います。
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 テレビでは、グルメ番組が人気です。芸能人やアナウンサーが絶妙な表現で食べ物の美味しさを伝え、視聴者の胃袋を刺激します。中には名人芸と言えるような「食レポ」を行う人もいて、その繊細な味覚と表現に感心させられます。しかし、実際に同じ商品や料理を味わってみると、思ったほどの美味しさを感じないことも多いものです。食レポを行う時は、その人の「美味しいセンサー」の感度が最高に高まっているのですね。良いところを見つけ出す意識が強まり、いつもなら見逃してしまうような美味しさに気づくのでしょう。
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 暮らしの中でも、「幸せセンサー」の感度を高め、小さな喜びや良いところを見つけ出せれば、より豊かな毎日となることでしょう。日常は同じようなことの繰り返しが多く、感動も薄れがちですが、「食レポ」するように、日々を味わってはいかがでしょうか。
 小さな喜びを大切にし、その中から得る幸せを大きく喜ぶことで、日々の味わいも変わってきます。時には、「苦味」さえもアクセントになるはずです。
 新しい年が、皆様にとって素晴らしい出会いと喜びに満ちたものとなりますようお祈り申し上げます。

令和6年1月発行「おてらだより」より