「立春大吉」道元禅師・十五大吉文

立春を過ぎ、暦の上ではもう春ですね。
曹洞宗の独自の風習といわれているのが、「立春大吉」符を山門や玄関に貼ることです。魔除け・厄除けのご利益があります。

「立春大吉」の文字は、左右対称で、裏から読んでも同じように読むことができます。一説では、鬼が門から入った時、振り返ってお札を見たときに、「立春大吉」と読めるので、入口と出口を混同して、すぐに出ていくのだそうです。

この「立春大吉」符の元となったのが、道元禅師の記された「十五大吉文」とういう法語です。
文中に「大吉」という言葉が15回も!。 

「十五大吉文」

「南謨佛法僧寶大吉
 立春大吉 一家祖師祖宗大吉 佛法弘通大吉大吉 祖道光揚大吉
 寺門繁昌大吉 門子多集得人逢時天下歸崇吾道大吉大吉
 大吉立春大吉 大吉開山永平大吉道玄
                寛元五年丁未立春大吉大吉

鎌倉時代の寛元5年(1247年)、道元禅師が48歳の時、越前(現在の福井県)の永平寺で修行僧たちに向けて示されました。「大仏寺」を「永平寺」と改称して初めて迎えたおめでたい立春の日に示されています。

以前は、ご本山から瑞世の祝賀として拓本が授与されていたそうです。
(私が瑞世をした時には、頂けなくなっていたような気がします。いただいていたらすみません。)

「十五大吉文」は単なる厄除けの呪文ではなく、仏法への深い帰依と喜びを宣言する内容となっています。

三宝への帰依: 仏・法・僧の三宝に帰命(信じて従うこと)することは最大の大吉である。

仏法の弘通: 禅宗の教えが広く伝わり、祖師たちの歩んだ道が輝き発展することへの喜び。

寺門の繁栄: 永平寺に多くの門弟が集まり、志を同じくする人々と出会えることへの感謝の心 。

本来の「立春大吉」とは、外から来る災いを防ぐためのお守りいうよりも、内側から溢れ出す「喜び」と「感謝」の宣言であったといえます。

このお寺の習慣が、後に庶民の厄除けの風習として広まったそうです。